課程博士と論文博士の違い

601夫婦🐻🐤です。

このブログでは、ともに大学院博士課程を終えた私たち研究者夫婦が、これまでの経験を元に、大学院や研究生活に関する情報をまとめています。

私たちは大学院の博士課程に在籍していたので、いわゆる「課程博士」の取得を目指しているのですが、博士論文の審査をクリアできなければ、「論文博士」の取得を目指すことになります。

この「課程博士」と「論文博士」
どちらも「博士」なので学位としては同等ですが
色々違いがあるので、今回は、その違いについてまとめました。

はじめに

まず、前提として「課程博士」と「論文博士」の概要についてです。

課程博士とは

「課程博士」とは、大学院の博士課程を修了することで取得できる博士の学位のことです。

学位規則においても、以下のように記されています。

第二章 大学が行う学位授与
(博士の学位授与の要件)
第四条 1項
法第百四条第一項の規定による博士の学位の授与は、大学院を置く大学が、当該大学院の博士課程を修了した者に対し行うものとする

学位規則より

大学院の修士課程を修了して修士の学位を得ると同じような感覚で、
博士課程を修了して博士の学位を得ることです。

論文博士とは

一方、論文博士とは、ざっくり言うと博士課程に通わずに博士の学位を取得することです。

学位規則における説明は以下の通りです。

第二章 大学が行う学位授与
(博士の学位授与の要件)
第四条 2項
法第百四条第二項の規定による博士の学位の授与は、前項の大学が、当該大学の定めるところにより、大学院の行う博士論文の審査に合格し、かつ、大学院の博士課程を修了した者と同等以上の学力を有することを確認された者に対し行うことができる。

学位規則より

このように、大学院の博士課程を修了した者と同等以上であると大学が認めれば、学位を取得することができます。

博士論文については、下記記事にまとめていますので、気になる方は読んでみてください。

課程博士と論文博士の違い

理系と文系によって違いがあるとは思いますが、
文系大学院出身である私たち夫婦の経験を元に
課程博士と論文博士の違いを2点あげます。

1.博士論文の提出資格(条件)の違い

1点目は提出資格(条件)の違いです。

課程博士、論文博士ともに博士論文を提出するための資格(条件)があります。
(例:「査読付き論文〇本以上」や「論文3本以上(英語論文を含む)」など)
そのため、資格(条件)を満たせない限り、提出することすらできません。

そして、この資格(条件)は“【課程博士】<【論文博士】”です。

大学院によって違いがあるかもしれませんが、私たち夫婦が所属していた大学院の場合は、論文博士の提出資格を得るためには課程博士の2倍の業績が必要と言われていました。
(色々調べても明確な規定が見つからないので、暗黙の了解的なところがあるのだと思っています)

なので、必然的に取得のしやすさも“【課程博士】<【論文博士】”です。

2.博士論文として求められる質の違い

2点目は博士論文として求められる質(論文のクオリティ)の違いです。

1つ目の違いと重なる部分があるのですが、課程博士よりも論文博士の方が質の高い論文、研究として完成度の高いものを求められます。

これも文系と理系とで違いがあると思いますが
課程博士=研究者としてのスタート
論文博士=これまでの研究の集大成
みたいな認識が文系の方が根強く残っているところがあると思います。

なので、博士論文の審査においても、大学の教授陣が求める水準は
課程博士よりも論文博士の方が高いようです。

私達夫婦も在学中、指導教員から
「論文博士だったら〇〇だけど、課程博士だから△△でも・・・」
みたいな助言をよく受けていたので…

また、博士論文として求められる質の違いは
大学院によっても大きく異なっているようにも思います。

今回は、「課程博士」と「論文博士」についてざっくりとまとめてみました。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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