601夫婦🐻🐤です。
このブログでは、ともに大学院博士課程を終えた私たち研究者夫婦が、これまでの経験を元に、大学院や研究生活に関する情報をまとめています。
いきなりですが、「単位取得後退学(もしくは満期退学)」って言葉聞いたことありますか?
大学の先生の最終学歴に「〇〇大学大学院 博士課程単位取得退学」とか「△△大学大学院 博士課程満期退学」と表記されているのを目にしたことがある方もいるのではないでしょうか?
大学院生や研究者の方にとってはよく見聞きする言葉だと思いますが、多くの方にとっては聞き馴染みのない言葉だと思います。
私たち夫婦も最終学歴が「単位取得後退学」となるのですが、「退学」という言葉が入っているので、親から驚かれ、何度か説明して、やっと理解してもらえました。
今回は、「単位取得後退学」についてまとめました。
目次
単位取得後退学とは
単位取得後退学については、文部科学省のHPに以下のように説明されています。
大学院の場合では,大学院の課程の修了要件のうち,当該課程に在学中に,論文の審査及び試験に合格することのみ満たすことが出来ず,当該課程を退学することの呼称として使われることがある。
文部科学省 用語に関する参考資料より引用
つまり、博士課程で必要な単位を取得しながらも、博士論文を書き上げることなく退学することを「単位取得後退学」と言います。
修士課程の場合であれば、必要な単位を取得した上で修士論文を書き上げ、審査に合格することで「修士」の学位が与えられます。
博士課程の場合は、必要な単位を取得した上で博士論文を書き上げ、審査に合格することで、「博士」の学位が与えられるのですが、在籍期間で博士論文の審査に合格できないまま大学を退学することを「単位取得後退学」と言います。
「単位取得後退学」の他にも「満期退学」や「単位取得退学」などと称されることがあるようです。
博士課程の修了要件は、必要な単位を取得した上で博士論文を書き上げることなので、単位取得後退学をした人は博士課程を修了していません。
何のための制度?
博士論文の場合、書くための資格(条件)が設けられているため、博士課程に3年間在籍しても資格(条件)を満たせなければ、博士論文を提出ことも、審査を受けることもできません。
極論を言えば、博士論文を書き上げるまで3年を超えて在籍し続けることもできるのですが、もちろんその分の学費が発生してしまいます。
また、単位取得退学をしても博士論文を提出する権利はなくなりません。
単位取得退学をしたあと数年間(私が所属していた大学院の場合3年でしたが、大学によって規定が異なります)に資格を満たせば博士論文を提出することができます。
なので、3年過ぎた時点で大学院を退学し、非常勤を掛け持ちしたり、常勤で働きながら博士論文の提出を目指すことができます。
私の所属していた大学院の場合、3年間で博士論文を書き上げる人はほとんどおらず(10年に1人とか・・・)、私たち夫婦を含めほとんどが3年間の在籍期間を終えると単位取得後退学を選んでいました。
博士の学位取得を諦め研究者とは違う道に進む人や、単位取得後退学をした後も研究を続け3年以内に博士論文を書き上げる人など、研究職として博士の学位を持っていることは重要ですが、博士を持っていなくても就職できる場合もあるので、どういう道を選ぶかは人それぞれだと思います。
ちなみに、規定の期間が過ぎても博士論文を提出することはできますが、課程博士ではなく論文博士となるため資格(条件)がより厳しくなります。
(課程博士と論文博士の違いは、また別の機会に詳しくまとめたいと思います)
ざっくり言うならば、単位取得後退学をした人は博士論文を書き上げるまで書く権利を持っていると言うことですね。
まとめ
- 博士論文を書き上げていないまま、博士課程の在籍期間を終えた状態を「単位取得後退学」と言う
- 単位取得後退学をした人は博士課程を修了していない
- 単位取得後退学をした人は博士論文を書きあげるまで、博士論文書く権利を持っている
今回は、「単位取得後退学」についてまとめました。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。